上原 先生の描く女性は、僕の憧れでもあり素敵ですけれど、男性のヘアスタイルも素晴らしいですよね。先生が「銀河鉄道999」や「1000年女王」を描かれていた当時の日本って、金髪の人って世の中にそんなにいなかったですよね? しかも男性でロングヘアなんて。
松本 いなかったし、金髪に染めたりすると軽蔑されていましたね。
上原 実際にはいないのに、なんで漫画でそこの発想に行き着いたのだろうって疑問があるのですが。
松本 単純に自分の好みですね、こればかりはどうしようもないんですよ。自分は自分の好きなように描きたいので。世の中に実在していないから描けないというのは違うと思いますね。世の中になくても、自分の中にあるから描きたくなるし、描けるのだと思うのですよ。
上原 先生の絵って角度によって奥行きが変わってきますよね。いつもそう思います。メーテルも角度によって頭のボリュームが全部変わってくる。
松本 そうですね、角度によって見え方が違いますからね、人間は。
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上原 今、先生が見てくださっている僕の作品の写真もそうなんですが、手前と奥のディテールの違いでボリュームを感じさせたりしているんです。
松本 (上原さんの作品を指さしながら)これがないとものたりないんですよね。この向こう側にある、くるりんとした髪の毛の部分。
上原 そうなんですよね、好きなバランスを考えて突き詰めていくと、ここの髪の毛が、ボリュームは少ないのに、ないと成立しないような気がしていて。
松本 髪の毛は生き物だから、感情も表すし、バランスも大切。私はメーテルのような強い女性が好きなんですよ。だから感情の表現ができる髪もすごく大切なんです。
上原 先生に影響を与えた女性ってモデルはいるんですか?
松本 映画でいえば「わが青春のマリアンヌ」のマリアンヌ・ホルトという女優さんもそうですけれど、知らないうちにモデルになった人もいます。「宇宙戦艦ヤマト」に出てくるスターシア。これは、のちにわかったのですが、シーボルトの孫娘がモデルですね。
上原 シーボルトの孫娘さんと接点があったんですか?
松本 いやいや実際にお会いしたわけではないですよ。
上原 それでも影響を受けた?
松本 そうなんです。それには長く、不思議なご縁があります。